正月の記憶 まぐろの育て方

まぐろの話と食の日常

世間では毎年、
初ぜりで「〇億円のまぐろ」が話題になる。

正直に言うと、
ああいった突拍子もない出来事は、
まぐろの本来の価値を伝えるという意味では少し違和感がある。

現場でまぐろに触れている人間からすると、
あれはあれで迷惑な側面もある。
まぐろの評価や価格、流通の話については、
また別の記事で改めて書こうと思う。


正月に届いた一尾

正月の日記でも触れたが、
年末に知り合いの仲卸の社長から
まぐろを一本いただいた。

今回のまぐろは、
宮城県産 延縄(はえなわ)生本まぐろ

箱を開けた瞬間に分かる、
状態の良さだった。


生鮮延縄まぐろの「時間感覚」

生鮮の延縄漁は、
以前はおよそ30日周期で操業していた。

・漁場まで約1週間
・漁が10〜14日
・帰港まで約1週間

つまり、
最初に獲れたまぐろは
水揚げ時点で3週間前の魚という計算になる。

しかし最近は漁場が近く、
2〜3日で到着できる海域で操業するケースも多い。

その分、
鮮度は格段に良くなってきている。

今回のまぐろも、
まさにその恩恵を受けた一本だった。


包丁を入れた瞬間に分かること

鮮度の良いまぐろほど、
実は切るのが難しい。

包丁を入れたとき、
サクッと割れるような感覚。
刃の先端だけが身に触れているような感触。

切っていて、
まったくストレスがない。

これが「良いまぐろ」の一つのサインだ。


でも、実はおいしくない

ここで誤解してほしくないが、
おいしくない=まずい ではない。

みのる号は、
こういう状態のまぐろを
「若い」 と表現している。

鮮度は抜群。
身も美しい。
だが、旨みがまだ整っていない。

これは欠点ではなく、
これから変化していく余地がある、
という意味だ。


若いからこその楽しみ方

若いまぐろには、
若いまぐろの楽しみ方がある。

刺身だけでなく、
しゃぶしゃぶや軽い火入れをすると、
身の印象がガラッと変わる。

そして、
時間をかけて熟成させることで、
まぐろは別の顔を見せてくれる。


まぐろは「育てる魚」

まぐろは、
買ってすぐ食べて終わりの魚ではない。

状態を見て、
触りすぎず、
時間と向き合う。

そうして育てていくことで、
一本のまぐろから
何通りもの楽しみ方が生まれる。

正月にこのまぐろと向き合えたことは、
とても贅沢な時間だった。


次回予告

熟成の進め方や、
実際にどう食べ分けたかについては、
次の記事で詳しく書こうと思う。

正月の続きとして、
もう少しだけ、
まぐろと付き合っていきたい。

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